現代だって生きるの超大変なのに…壮絶すぎる女たちの人生『親なるもの 断崖』

レディコミ

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20150824
©曽根富美子 / 宙出版

昭和の初め、北の大地には、貧困と時代に翻弄される、悲しい少女たちがいた!!――日本漫画家協会賞優秀賞受賞作品。

彼女たちは、渾身の力を振り絞り闘い続けた…!!――昭和2年4月、北の海を渡り、4人の少女が北海道室蘭の幕西遊郭に売られてきた。松恵16歳。その妹・梅11歳。武子13歳。道子11歳。松恵はついたその日に客をとらされ、首を吊った。奈落の底で、少女たちの血を吐くような人生が始まった!!
(引用元・GiGicomi)

昭和初期、日本の重工業の中心だった北海道室蘭に実在した幕西遊郭が舞台のこの物語。
少女達が初めて幕西遊郭の女郎屋のひとつ『富士楼』へと向かうところから始まります。16歳、11歳、13歳。こんな幼い少女達がなぜ遊郭に?と思うところ。
この頃、東北の農村では飢饉によって、娘を女工や女郎、芸妓などにしなければならないほど貧困にあえいでおり、そのための『娘身売相談所』なるものも存在していたそうです。主人公達もそれぞれの家庭の事情から売られてきたのです。

4人の少女は幕西遊郭で、それぞれの人生をスタートさせます。
松恵は…一番の年長者だった彼女は遊郭に到着した初日に客を取らされ、そのまま自ら命を絶つ。
お梅は…松恵の妹のお梅は姉の死後、まだ月のものも始まらないうちに自らの意思で客を取り女郎となる。やがて、売れっ子になるが、愛する男と出会い…
武子は…富士楼の女将に見込まれ、芸妓となるべく厳しい稽古の日々、そして、彼女も評判の芸妓となり…
道子は…顔も体つきも不器量な彼女は売り物にならないと富士楼で下働きさせられる。

それぞれのエピソードは『壮絶』の一言では足りないくらい。さらに、昭和という時代を語る上で外せないのが『戦争』がありますよね。物語も戦争に向かうに伴って苛酷さを極めてゆきます。
お梅が愛した男は、社会運動に身を投じる学生。この時代では社会運動は厳しく取り締まられていました。不穏な動きが見つかれば有無を言わさず拘束。拷問。
愛し合う二人の逢瀬は密やかに行われます、それは儚く、切なく、甘い時間…このまま結ばれて欲しいと思う読者の願いも空しく、時代に翻弄された残酷な結末が待っています。
しかし、ここからのお梅が凄い。自身を取り巻く状況は悪くなる一方のなか、強く強く生きていく様が美しくて胸にぐっと迫ってきます!

お梅、そしてお梅を陰で支え、自身もとある苦悩と野望を持つ武子、最期まで悲しい道子、お梅の娘・道生など主人公達。ほかにも富士楼の女将、道生の祖母…それぞれが時代に逆らい、または身を任せながら信じる人生をたくましく生きています。
また、そんな女たちとともに生きる男も、時に頼もしく、時に愚かで、とっても愛しい。(番頭の直吉には惚れること必至)
時代と社会と舞台はノンフィクション、キャラクターはフィクション。ですが、もしかしたら、お梅たちのように生きた少女がこ国のどこかに存在していたかもしれません。
というか、戦後70年て最近じゃないですか。売春防止法が施行されて遊郭がなくなったのも昭和33年、てことはもっと最近の話。
自分の父母、もしくは祖父母の代では、こんな社会があって、こんな女性達がいて…こんな時代が、平成のお隣にあったんですよ。

女性向けのGiGicomiにあって、【男性には理解できない(理解が難しい)】という点で、これほど女性向けな作品もほかにないと思います。
時代の、社会の最下層としての苦しみなどは、男女共通のものですが、少女時代に過酷な(特に性的な)労働を強いられる、愛する人と決して結ばれない、女としての喜びを知ることができない、子供を持てない・子供との安らかな生活を守ることができない…様々な苦痛、憤り、悲しみを描いています。
できることなら、時代のためにこんな苦しみを味わう女性達が再び現れないように。そんな祈りを込めて読んでいただきたい作品です。

↓親なるもの 断崖 第1部・第2部シリーズ一覧↓
bt


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